an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

日記

年末あれこれ

のっけから恐縮だが景気の悪い話である。 先日、会社員時代の同僚と会う機会があり、アレがこうなった、アノ人がああなった等々事実から噂まで話題は尽きなかったのだけれど、去ってそろそろ10年ともなると、仕事の性質だとか会社の体質だとか、そういうレベ…

ぼくは本屋のおやじさん

早川義夫というミュージシャンをご存じだろうか。 その昔ジャックスというバンドで活動しており、シンプルなラブソングを熱唱するタイプの歌い手で・・・・・・って実は私は彼の音楽のことを全然知らないのだ。 早川さんはバンド活動を早々に切り上げて以後、長ら…

写真にひそむ物語−その④

◆『ひとり歩けば』辻まこと◆ ひとり歩けば―辻まことアンソロジー作者: 辻まこと,柴野邦彦出版社/メーカー: 未知谷発売日: 2011/12/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る表紙のイラストに惹かれて手に取った。 自然とのふれあいや山で暮らす人々を書…

写真にひそむ物語−その③

◆『近代の奈落』宮崎学◆近代の奈落 (幻冬舎アウトロー文庫)作者: 宮崎学出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2005/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (16件) を見る「被差別部落で展開されてきた運動のドラマを追跡する」これが本書…

写真にひそむ物語−その②

◆『美しい夏』チェーザレ・パヴェーゼ◆ 美しい夏 (岩波文庫)作者: パヴェーゼ,Pavese,河島英昭出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/10/17メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 43回この商品を含むブログ (30件) を見る あのころはいつもお祭りだった。家を出…

写真にひそむ物語−その①

ひょいと気まぐれに手に取った本がおもしろかった時の喜びは格別であるが、著者や作中の登場人物が、思いのほか魅力的な風貌であったことを知らしめる写真をどこかの片隅で見つけると、これまたじんわりとうれしくなる。 昔の写真は意図せずして「実相とはや…

桂離宮

桂離宮に行ってきました。 ・・・と一言でサラッと書いてしまったが、ここは気軽に「じゃ、今週末の土曜日にでも行こっか!」というわけにはいかんことは皆さんご存知のことと思う。 事前にしかるべき手続きを踏んで申込み、当日は身分証明書を提示し、時間通り…

諜報、復讐、贖罪、そして奇跡

ページを繰るのももどかしく、一気に読み上げた。 ウィリアム・ピーター・ブラッディ新作『ディミター』。 ディミター (創元推理文庫)作者: ウィリアム・ピーター・ブラッティ,白石朗出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/09/21メディア: 文庫 クリック: 2…

イーハトーブ旅日記〜その③〜

北上市から南下、奥州水沢、平泉を経由して一関へ向かう。 藤原氏の栄華が花開き、義経が非業の死を遂げた地・・・奥州は歴史のロマン渦巻く地域だ。東北に侵攻してきた坂上田村麻呂率いる朝廷軍と、それに抵抗した蝦夷の軍事指導者アテルイ(この名前、アイヌ…

イーハトーブ旅日記〜その②〜

さあ「復興応援ツアー遠野・釜石号」だ。 事前に電話で参加申込みをした際、「新花巻駅の改札出た右側にね、観光案内所がありますから。定刻にスタッフが迎えに行くのでそこで待つように」との指示を受け、今や遅しと現場でツアー・スタッフを待ち構えていた。…

イーハトーブ旅日記〜その①〜

デカい台風が沖縄にじりじりと迫り来ていた晩夏某日。 コイツが日本列島を北上してきたらえらいことやな・・・さすがは毎回キッチリ雨を呼ぶ女、今回は豪快にも嵐を呼んだか・・・と一時はアタマをかかえたが、どういう気まぐれか台風も秋雨前線もするりとかわし、…

ある夏の日

ちょっと久しぶりの更新になりましたが、皆さま盛夏をいかがお過ごしでしょうか。 ええ、わたくしちょっと早めのバカンスから只今戻りまして・・・なんてことはあるはずもなく、7月末から8月アタマにかけての夏場は毎年恒例、ワーカーさんたちとの協働作業に連…

読んだ本とか

パリでいっしょに作者: エドマンドホワイト,Edmund white,中川美和子出版社/メーカー: 白水社発売日: 1998/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見るセレブリティによる“パリ暮らしエッセイ”などといってしまうと掃いて捨てるほどありそうだが、アメリ…

いとこ・この微妙なるもの

尾崎秀実の評伝をパラパラ読んでいて、彼の奥様(書簡集『愛情はふる星のごとく』はこの英子夫人に宛てたもの)が兄嫁と不倫の末の略奪婚、しかも幼い頃同居したこともある「従姉」だったと知って軽く驚く。尾崎秀実伝 (1968年)作者: 風間道太郎出版社/メー…

右方左方?

帰り道にちょくちょく寄る某大型書店、ふと見るとこんな特設コーナーが! あやうく鼻血出そうになった(笑)。 とはいえ、すべて定価販売でもあることだし(←あたりまえ・・・)、 ここはつつましく二冊を入手するも、コーフンしたわりに掘り出し物でもなんでもな…

アフリカの日々

The rhythm is around me リズムが私を取り囲む The rhythm has control リズムが私を支配する The rhythm is inside me このリズムが私の内部に The rhythm has my soul そして魂に Peter Gabriel 「The Rhythm Of The Heat」より アフリカ探索に赴いた心理…

映画一口レビュー

梅雨やら台風やら低気圧な日々が続く6月も終盤、皆様いかがお過ごしでしょうか。 こういう鬱陶しい時期は、気の合う誰かさんと『アメイジング・スパイダーマン』や『メン・イン・ブラック3』などのノーテンキで愉快な映画を観て乗りきりたいものだ、と思ってい…

「人は死なない」

「日本と呼ばれる列島との、見えたり見えなかったりするつながりで、 自分がどこにいるのか常に問うこと。」 「思わぬことが起こったら、そこで立ち止まり、 20秒ほどかけて(もっと考え尽くすために)よりよい姿勢をとること。」 「常に、ひとであるより肉…

映画一口レビュー

連休ともなれば、一度は映画館に行きたい。 私には映画好きのマイミクさんが多いのだけど、皆さんはきっと、アカデミー外国語映画賞に輝いたイラン映画『別離』やスタイリッシュな映像が話題の『裏切りのサーカス』、はたまたダルデンヌ兄弟『少年と自転車』…

しあわせなランチタイム

しあわせなランチタイムを 過ごしました 昭和の香り漂う写真を添えて、キャリア・ウーマン時代にお気に入りだった食堂の面影を思い起こす、ちょっぴり切ない内容を綴った知人のブログの一節に目をとめ、ハタと考えた。 はて、私の平日にしあわせなランチタイ…

熱狂の日〜ラ・フォル・ジュルネ〜

「ラ・フォル・ジュルネ」(熱狂の日)と名付けられたクラシック音楽祭が、東京だけでなく新潟や金沢、そして私にとって馴染み深い琵琶湖のほとり、大津市でも開催されていることを知ったのはつい最近のことだ。 このフランス発祥の大規模な音楽祭は、「一流の…

ベン・シャーン展

外国暮らしの友人が3年ぶりに帰国したのでさっそく会いに、そしてタイミングよく開催されていたベン・シャーン展を見るため名古屋へ。 農民や労働者を描き、冤罪事件を題材にした『サッコとヴァンゼッティ』、第五福竜丸事件をモチーフにした“ラッキー・ドラゴ…

本の本

“本について書かれた本”はわたくしの大好物のひとつ。 どちらも装幀に携わる方の著作ということで見栄えもよし、一目見て欲しくなった。 ◆画家であり、同人雑誌「sumus」の編集者としても知られる林哲夫『古本スケッチ帳』 ◆デザイナー・平野甲賀と作家・黒川…

新年度

桜のつぼみも膨らみ、春の訪れを肌に感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょう・・・・・・おっと違う違う、これは職場HPスタッフ・ブログ用の文言だったわ。 毎回ネタに呻吟しつつもめでたく5年目突入、現在も絶賛連載中である(←この調子で自分を鼓舞しない…

2012年 オスカー

「餃子をたくさん作ったから食べにおいで」との声にいそいそと妹宅へ赴くと、 チビ二人が「Newスーパーマリオブラザーズ:Wii」を携えて待ちかまえていた。 どうやら「おばちゃんを参加させたらプレイ時間延長可」とのお許しをもらったらしい。 (・・・あんま…

「震災後、あなたは〈何〉を読みましたか?」

震災は あなたの〈何〉を変えましたか? 震災後、あなたは〈何〉を読みましたか? タイトルにひかれて「新潮」4月号を購入。 (それにしても、しばらく見ないうちに文芸誌も表紙がずいぶんモダンなデザインになりましたな。あの「群像」でさえも!) 新潮 20…

メイド・イン・フィンランド

皆さんはフィンランド、と聞いて何を連想されるだろうか。 森と湖とオーロラとサウナの国?シベリウス?ムーミンとスナフキン?イケアとマリメッコ?そうそう「かもめ食堂」なんてのもあったな。 どれもこれも女性誌が今すぐ特集してもおかしくないものばか…

将棋の話

西に死神とチェスする騎士あれば、東に鬼と将棋指す怪童あり 今でこそめったに盤を出さないようだが、将棋は父の数少ない趣味の一つである。 手近に相手があればとでも思ったのだろう、私が10歳くらいの頃からしきりに将棋を教えたがった。ご存知のことと思…

ゴヤ、フェルメール、ラピスラズリ

中国から来た至宝「清明上河図」が大盛況の国立博物館をはじめ、今冬の東京の美術館は眩いばかりだ。 いいないいな〜、私も見たいな行っちゃおうかな〜、ほら「ぷらっとこだま」使ったらけっこう安くで行けるしさあ(三時間半もかかるけど!)、などと勢いづ…

2012年初の

読書報告、二冊ばかりまいりましょう。 並べてみるとどちらも表紙がなかなかいい感じ。 丹精こめて作られた本を手に取るのは読書人の喜びの一つだ。 ◆『脱力の人』正津勉◆脱力の人作者:正津 勉河出書房新社Amazonひょんなことで手に取った本書。詩人が、詩人…