ちょっと久しぶりの更新になりましたが、皆さま盛夏をいかがお過ごしでしょうか。
ええ、わたくしちょっと早めのバカンスから只今戻りまして・・・なんてことはあるはずもなく、7月末から8月アタマにかけての夏場は毎年恒例、ワーカーさんたちとの協働作業に連日勤しんでいたのでございます。まあなかなか楽しい仕事ではあるのですが、ワーカーさんにもいろんな方がおられますし、酷暑と人混みの中ふうふう言いながら東九条と嵯峨嵐山を行ったり来たりしていましたので、仕事を終えて家に帰るやもう・・・
↓ ↓ こんななってました。
そんな中でもオリンピックは観なければならぬ(ならぬのか・・)。
ある日のこと、卓球団体戦とバドミントン・ダブルスの熱戦にくぎ付けになり、さらに競泳メドレーリレーでのメダル獲得(男子も女子も!)の様子を確認して「よっしゃあああ!」と心の中でガッツポーズをしながら新聞を繰っていると、綿矢りささんの大きな写真入りの新作紹介インタビューが目に留まった。
敗者の気持ちが書きたい。やり遂げるとか、仲間と力を合わせて成就するとか、成功するとか、あまり好きじゃない。
負けたけれど、きれいな景色を見たというのが好き。しゃあないという感じが味わい深い。
もちろんスポーツなど一般的な勝負事のことだけを言っているわけではなかろうが、メダルラッシュのこのタイミングにこの言葉、ちょっとおもしろく思った。
(なんていうか・・・一人で熱くなっているところへ、物陰から水鉄砲でピュッと水をひっかけられたような)
まだまだ「美少女」の面影を残す若さで「なんとなくいや〜な感じの女(←「ものすごく嫌な女」ではないところがポイント)」を描くのがとてもうまいともきいているし、そういった微かなネガティヴさや諦念のほろ苦い味をどんなテクニックを使って物語として着地させるのか興味深いところだ・・・とはいうものの、最近は「こう暑いと字ィばっかりの本なんか読んでられんなホンマ」ってことで、絵や写真を楽しみつつ短時間でさくさく読めてしまう本をご紹介したいと思います。
興味があればぜひどうぞ。
(2012年8月18日記)
追記
第149回芥川賞は藤野可織さん『爪と目』。
たまたま新潮4月号を買っていたので(小林秀雄特集だっ)、早速読んでみる。
独特の二人称使い、ややホラーテイストのラストも含めなかなか読ませる一編だ。
主な登場人物は父娘と後妻としてやってくる女性の3人なんだけど、それぞれみんなこわいの。こういう人はフツーに身近に存在してそうで、ますます恐い。