an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

年末あれこれ

のっけから恐縮だが景気の悪い話である。
先日、会社員時代の同僚と会う機会があり、アレがこうなった、アノ人がああなった等々事実から噂まで話題は尽きなかったのだけれど、去ってそろそろ10年ともなると、仕事の性質だとか会社の体質だとか、そういうレベルでも「ずいぶん変わったな」という印象を受けたのだった。
業績不振でショールームを次々と閉鎖しているということにも驚いたけれど(私が居た頃はそりゃもうイケイケドンドンだったのだ)、事務や商品アドバイザーなどに携わっている女性派遣社員に「正社員にならないかい?但し営業でね。そのままじゃ給料上がんないよ、外に出て稼ごう!」ってな調子のおふれが会社側から盛んに出るというのもビックリだ。
社員総営業化。全員外に出て一つでも多く売ってこいってことか・・・・・・
日本を代表するような家電メーカーの名が「撤退」「削減」「巨額赤字」などといった文字とともに新聞紙上をにぎやかすご時世である。「社員全員で売りに行く!」くらいの気概がないと存続すら危うい・・・のか??いやはや大変な時代である。


翻って後日。
私は市内にある障害者就労支援施設に向かっていた。見学のためである。
そこは社会福祉法人でもNPOでもなく「合同会社」とあり、複数の関連企業が共同出資しているようだ。案内チラシにある「専門的なPCスキルを訓練!」というのにまず目を見張った。どこにでもありがちなワード・エクセル基礎講座なんかじゃなく、グラフィックやシステム開発を教える用意があるというのだ。メンバーさんたちのPCスキルアップは我々にとっても目下緊急の課題であるし、福祉の看板をあげているからには、驚きの低価格でその訓練を提供する心づもりだろう。
さすがは民間、行政とは一味違って太っ腹だし話が早い。

期待に胸を膨らませて到着すると、「眉はテンプレートで、唇はリップペンシルで念入りに仕上げております」といった感じのメイクに慇懃な物腰のマダム風女性が登場、一瞬怯んだが、聞きたいことはたっぷりある。
「エート、この体力作りというのは具体的にはどんなプログラムを・・・」
「ああそれは・・・・・・いろんなことをする方がいますけど・・・例えば散歩とかね
この返答には思わず吹き出しかけたが、どうもオープンしたばかりでメンバーもスタッフも少なく、試行錯誤の真っ最中のようである。まあ無理もないが、件のハイレベルPC訓練についてはどうなのか。見通しはあるのかないのか。

するとマダムはすました顔してこう答えたね。
「近々に、未だかつてない斬新なネットショップ・サイトを立ち上げます。あ、それはウチの関連会社が作るんですけど。そこで一旦資金を集めてからこの訓練を開講します。講師を雇うのも資金がないことにはネ。ですからしばらくお待ちくださ〜い。」
・・・ネットビジネスに明るいわけではないので、言下に否定するのもどうかと思うけれど、楽天、アマゾン、ヤフーその他諸々生き馬の目を抜くネットショッピング業界で、一体どんな「斬新さ」を見せるつもりなのか。ってゆーか、とにかくモノが売れなくて大企業ですらなりふり構わず「全員営業化」を目指しているのに、サイト一つに客が押し寄せじゃんじゃん買い物をするとでも?それとも「こんなことできたらいいな♪」的思いつき?
・・・というようなことが怒涛のように私のアタマの中を駆けめぐり、さすがに顔色をなくしたことであった。

改めて、「人さまにモノを買ってもらう」ってのは本当に大変なことだよ・・・などとしみじみ思いつつ、フト気が付けばここ数日でけっこう買っとるがな私。


      

 
12月は数少ない購買意欲の高まる月、営業の皆さん、カモをつかむなら今だ!



(2012年12月28日記)