an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

写真にひそむ物語−その④

◆『ひとり歩けば』辻まこと

ひとり歩けば―辻まことアンソロジー

ひとり歩けば―辻まことアンソロジー

表紙のイラストに惹かれて手に取った。
自然とのふれあいや山で暮らす人々を書いた小品に、少しさみしげだったりユーモラスだったりする風景を描いたイラストをふんだんに盛り込んだアンソロジーである。
1人静かに山や木と対話しているかのような文章は装飾の少ないシンプルなものだが、どこか詩情があり、ささやかな何か(たとえば1人でいることのさみしさであったり清々しさであったり)に改めて気付かせてもらえるようで、それが涼風のように心地よい。
「ヒマラヤよりウラヤマだよ。」彼のこのスタンスも、私はすごく好きだな。

・・・ところで本書のタイトルは「ひとり歩けば」となっておりますが、辻まことの女性関係はたいへんに華やかで、武林無思庵の娘・イヴォンヌと(あの山本夏彦をさしおいて!)結婚していたり、あの矢内原伊作の彼女を愛人にしたり(!)、その他いろいろ、とにかくやたらと女性に惚れられる人だったようである。
本書解説によれば、辻まことはいつも穏やかな笑みをたたえ、話題が豊富で冗談好き、そしてスキーとギターが上手な、人を引きつけてやまない魅力を持つ人だったそうだ。
う〜ん、いくらファンだからってさあ、その話だいぶ盛ってません?・・・などと思っていたところへこの写真。


      


・・・こりゃあ惚れるわ(笑)。



(2012年11月23日記)