連休ともなれば、一度は映画館に行きたい。
私には映画好きのマイミクさんが多いのだけど、皆さんはきっと、アカデミー外国語映画賞に輝いたイラン映画『別離』やスタイリッシュな映像が話題の『裏切りのサーカス』、はたまたダルデンヌ兄弟『少年と自転車』やカウリスマキの新作『ル・アーヴルの靴みがき』あたりの「違いのわかる」作品を観ておられるに違いない。私だってそういうchicな映画を観て、知的な会話で盛り上がりたい!・・・と思っているのに。
・・・・・・またこんなんを観にいってしもた。 ↓ ↓
中国の山間のある田舎町。強盗に入った二人の男が現場で謎の死を遂げる。
偶然そこへ居合わせていた男(ドニー・イェン)は、「よく覚えてないんだけど・・・必死に抵抗したら運よくやっつけることができて・・・」などと無邪気にいう。村人はそんな彼をヒーローに祭り上げるが、「一介の紙職人が武道に長けた悪人を二人とも偶然殺害?そんな馬鹿な。こいつは一体何者だ・・・?」と捜査官(金城武)が彼の過去を探ってゆくと、そこには恐るべき真実が・・・・・・そう、これはクローネンバーグの傑作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』的展開が予想できるオープニング・シークエンスだ。
自然に囲まれたのどかな村のつつましい暮らしぶりや夜の闇をしっとりと描き、牛の潤んだ瞳に飛び交う羽虫、死体から漂う腐臭、人体の不思議から科学的な推理を導き出す陰影を帯びたアジアン・ミステリーに、胸は高まるのである。
・・・ところが、そうスマートにこの物語は展開しないのであるよ。
この“天才捜査官”こと金城くんはねちっこく絡んできてほとんど偏執狂みたいだし、黒幕を演じるのはジミー・ウォングだし(←実際に黒社会でご活躍中)、ドニーさんはもちろん人間離れしているし(たぶん殺しても死なない)、主要人物が異様にあくどくてあまりのことに呆気にとられ、ロックな音楽とともにドニーさんが暴れだす中盤からクライマックスまで怒涛の「んなアホな」の連続。しかしこれがぞくぞくするほどおもしろいのだ!
人間の肉体が作り出す造形美、野生動物のようにしなやかな跳躍には息をのむし、まるで透明な花火のごとく豪快に飛び散る水しぶきや、スローモーションで振り下ろされる大鉈すらも、その身体の動きの美しさに華を添える。
・・・なんとなく古典舞踊の様式美に通ずるような気がするほどだ(静止したときの型がビシッと見事に決まる感じなど特に)。
目を見張る華麗なアクションとトンデモストーリーの強引な融合、
興味のある方はぜひ!
(2012年5月18日記)
追記:このあとこちらも観にいきました。おすすめ。
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