an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

『パラノイア創造史』荒俣宏

あと20年もしたら水木しげるのマンガに出てくるような爺さんになるんじゃなかろうか。本をしょって背後から忍び寄る博覧強記な妖怪・アラマタ(笑)
その多彩な仕事ぶりから、一体どれから読んだらいいものやらと思っておられる方には(少し前の著作ではありますが)この一冊がおすすめ。オカルトな匂いのする古今東西奇人伝です。
「妖精に憑かれた家系ーチャールズ・オルタモント・ドイル」「地球を割ろうとした男ーニコラ・テスラ」「偉大なる記憶力の持ち主」「新文字を発明した人びと」etc・・・悪魔憑きありフロイトあり幻視体験あり黎明期の精神病院あり・・・著者の大好きな奇天烈な人たちのエッセンスを凝縮した「おいしいところだけ」な一品です。歴史的事実をふまえ、随所に資料や写真を用いてこちらの好奇心を捉えて離しません。「創造と狂気の間」を鮮やかにみせてくれる一作。
・・・個人的には、精神病と「電気」「電話」の関係を書いたところが新鮮でした。文明は新しい病をも生み出すのだな・・・。
(2006.1.31記)


>追記
アラマタ先生にはおもしろそうな本がたっくさんあるのですが、意外と読んでないなあ・・・。語り口がフィットしないのかも。