an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

料理の話

・・・(前回の日記の続き)まだ痒いのである。いよいよステロイドの出番かと思われる。この悪夢のような湿疹が一瞬で・・・治るのか(苦笑)。

まあしかし、桜をあんなふうに咲かせ、何もかもが萌え出る春という季節がもたらす生命力というのは思いのほか野蛮で獰猛なものなのかもしれず、そのあおりをくらってちょいとばかり体や心の調子が狂うというのは、ごく自然なことなのかもしれませぬ。(大いに狂ってはいけませんが)
・・・それでかどうかはわからないが、ここ最近はDaft Punkの「Too Long」、クラフトワークの「Musique Non Stop」、そしてスティーヴ・ライヒなど、自然の対極にあるような人工的な旋律が反復される音楽に鎮静作用があるようで、妙に心地よいのです。

ま、それはさておき。
料理の話だ。
大方の予想通り(?)、私は料理があんまり得意じゃない。
シューマイや春巻き、煮物にひつまぶしにポタージュ、和洋中なんでも抜群に旨いものを苦もなくサッサと作ってしまう妹とは大違いなんである。
素材の良さは大前提として、料理の極意は「手早く、大胆に」だと思うのだが、手先が不器用でダンドリが悪く、しかも小心なので、「火がとおってるかなぁ?」とか思いつつ炒め物を中火で(!!)いつまでも(!!)かき回しているようなヤツなのである。(・・・最近はそんなコトないです・・・)
自信がないから、目分量、なんていうのはもちろんだめだ。
レシピに忠実に大さじ小さじ何杯、とかやらねばならん(笑)。なので私が唯一買う実用書、それは「料理の本」。これ、山ほど売ってるけど使えるものは案外少ない。「野菜の切り方」とかいらないし!

・・・苦手な話の次は得意分野でいこう。
実用書でない料理の本の紹介だ。


◆『文人悪食』嵐山光三郎

文人悪食

文人悪食

これは有名だから読んだ方多いかな?
文豪たちの食にからんだ面白エピソード満載。
泉鏡花の驚異の偏食ぶりに脱帽。
サルトルもこんなふうな病的偏食でしたよね、確か)


◆『料理小説集』村上龍

村上龍料理小説集 (集英社文庫)

村上龍料理小説集 (集英社文庫)

食というものは最も基本的な欲望であり、快楽であり・・・なんていう話になると、言うも野暮だが「あの女を食いたい」ってトコにいきつくのだな、龍さん(笑)。
これは大変よくできていまして、冒頭からぐっと読者のココロををつかむ、いわゆる「つかみはオッケー」的短編ばかりでぐいぐい読ませる。思わず唸る。上手い。


◆『美食倶楽部』谷崎潤一郎

美食倶楽部―谷崎潤一郎大正作品集 (ちくま文庫)

美食倶楽部―谷崎潤一郎大正作品集 (ちくま文庫)

これですよ、これ。欲望と快楽のいきつくところ。
妖しくて滑稽。呆れて笑えて、酔えます。
・・・料理を、味を、触覚と幻想で表現した驚くべき一編。

(2008年4月20日記)


>追記

これも最高の料理本だな。
「奥さん、ここで手間を惜しんではならぬ」と薬味を何種類も作ったりするマメさ加減、ホントに「火宅の人」か?あるいはそのマメさゆえに火宅となったのか(笑)。

檀流クッキング (中公文庫BIBLIO)

檀流クッキング (中公文庫BIBLIO)