an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

インドへの道

タイトルにもありますように、更新をサボッている間にインドへ1人旅・・・なんてことはあるはずもなく、職場の引越しですったもんだしていました。
引越しというのは、本当に煩雑で心身を消耗するものでありまして、事前に万全の準備を整えたつもりであっても、どういうわけだか必ずトラブルが起こり、作業が難航し、仕事が滞り、人はイライラする、と決まっております。そこへ少々気が滅入るようなこともあってさらにイライラが募っていたわたくし、まずピアス穴が爛れてきました(む、無念なり〜!)。次にじんましん様のものがあちこちにあらわれてきまして、う〜むと唸りつつばりばり搔きむしって日々を過ごしていたら、あらまあ4月ももう12日・・・?
そういうわけで皆さん、イライラするのは体によくないのでやめましょう。

さて今年はイギリスのデビッド・リーン監督生誕100年だそうです。
アラビアのロレンス』『戦場にかける橋』『ドクトル・ジバコ』等々スケールの大きい大河ドラマで有名な人ですが、『ライアンの娘』『旅情』などの電撃型ラブ・ストーリーも素晴らしかった。
そのどちらでもない『インドへの道』は、微妙に屈折した人種間の心の綾を丁寧に描き出す、地味だけど見ごたえのある作品です。ぜひご覧ください。

・・・こういう大人の鑑賞に堪えうるようなメロドラマが撮れる人、最近めっきり少なくなったような気がします。

そして、生誕100年&インドつながりです。
日本画家・秋野不矩。今、京都に来てます。人生も後半にさしかかってからインドの魅力に目覚め、かの地に赴いて精力的に作品を残しました。

     

クレヨンで書かれたようなやさしい色遣い(黄色と茶色が好きだな〜)と大胆な構図。
インドは多彩なイメージを持つ国だけれど、この人の絵は、母なる大地の穏やかなまなざし・・・といったところでしょうか。
そういえば以前展覧会を観に行った時、梅原猛さんを目撃し、声には出さねど思いっきり「あっ、あっーーー!!」という顔をしてしまいました。
・・・失礼なのでそういうことは今後慎みましょう。・・・はい。


では最後に異国つながりってことで、おすすめ本を2点。
◆『LAハードボイルド』海野弘

カリフォルニア・オデッセイシリーズの第一弾。
海野さんの本って別に深い洞察だとか鋭い理論展開とかあまりないんだけど、目のつけどころがいつも面白いんだな。ゴシップとかスキャンダルとか陰謀とかのネタ大好きだしね。チャンドラーやフィルム・ノワール好きにはたまらない本かと思われます。それほどでもない私ですらとても面白く読んだし。

◆『ビールと古本のプラハ千野栄一

ミランクンデラの『存在の耐えられない軽さ』を翻訳した方です。
チェコってそんなにビールがうまい国だったとは。へえ、そんな文学者いたの。・・・知らないことばかりです。
時おり社会主義時代の暗い翳がさすようなところがあって、なかなか渋くて乙な味わいのあるエッセイです。
どうもクンデラの小説は長いし、辛気臭そう・・・と敬遠していましたが、「クンデラは人知では計り知れない重さを持ち、しばしば人間の手から逃れる重いものを、軽い文体で書く作家である」などと言われると・・・挑戦したくなってきますねぇ・・・!(『悪霊』の悶絶、再び)

(2008年4月12日記)