an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

『奇跡』

東寺近くに「京都みなみ会館」というちっこい映画館がある。
いまいちパッとしない商店街の中のパチンコ屋の上、という大変庶民的な環境にもかかわらず、主にヨーロッパの監督のアート系の作品を上映している堂々たる芸術派。最近では「マノエル・デ・オリヴェイラ監督特集」「ゴダールヌーヴェルヴァーグ・ナイト」「ファンタスティック!チェコアニメ祭」等々の企画で我々映画ファンを唸らせてくれている。・・・かと思えば「怪獣映画特集!オールナイト」「3と30のつく真夜中だけアホになります!ナイト(どんなものを上映しているかは推して知るべし)」などというお茶目な一面もあって、実に懐のふかい映画館だ。不肖わたくしも学生の頃から長きにわたってお世話になっている。

そして、今回の「カール・ドライヤー監督特集」。
カール・ドライヤーという人をご存知だろうか。
沈痛な表情のファルコネッティのクローズアップが有名な無声映画、あまたあるジャンヌ・ダルクものの金字塔であります、『裁かるゝジャンヌ』を撮ったデンマーク出身の監督といえば、ピンとくる方がおられるかもしれない。
そのドライヤー監督の『奇跡』を観る。(原作は劇作家であり牧師でもあったカイ・ムンクの『言葉』。聞いたことないなぁ・・・)

「信仰」と「祈り」という、現代日本に生きる私たちにとっては感情移入がやや困難かと思われる題材を扱っているが、ジョン・フォード並みの息をのむような美しい映像をシネマスコープで大いに堪能。自らキリストを名乗る精神を病んだ次男が死者を蘇らせる、という一見シンプルな、やれめでたや的ストーリーなのだが、よく考えるとこれ、そうとうラジカルな要素孕んでないか?もしかしてベルイマンより一枚うわてかもよ。それにしてもキリスト教ってやつは底知れないな・・・と普段考えもしないようなことが浮かんだり沈んだり。・・・かように、いい映画というものはふやけたアタマを活性化してくれるのでありました。


▲▼▲▼▲


ジョージ・オーウェル『パリ・ロンドン放浪記』読了。面白い。

この邦題だとなんだかのんきそうだが、原題は「Dawn and Out」、つまりどん底生活。自身の極貧生活と周りの人物の観察記録であり、非常に深刻な事態を書き綴ってはいるのだが、オーウェルの語り口がそうなのだろうか、あまりのことに笑いがこみ上げてくるようなテイストの作品だ。
・・・まこと悲惨と滑稽は紙一重


▲▼▲▼▲


もし信濃町に放ったなら5秒で捕獲されるであろう(笑)鳥肌実がGWに京都にくるようだ。なになに、クラブメトロで22:00開始、ってことは日付が変わる頃に終了か・・・って、それじゃ帰れないだろーがっ(怒)!!!
あの芸風が現場でエンタテイメントとしてちゃんと機能しているのかどうか、ちょっと興味あるんですよね。やっぱり京都では「京都御苑に向って、敬礼――――っ!!!」とか言うんだろうかね。

(2008年5月1日記)