- 作者: 本谷有希子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/30
- メディア: 単行本
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劇団の脚本をもとにした小説らしく、なるほど密室の中で病んだ家族がだんだん崩壊してゆくさまが息詰まるタッチで劇的に展開される。しかしですね、両親の異常な事故死、家庭内暴力、虐待、近親相姦なんていうショッキングな舞台設定を次から次へところがすもんだから、つい家庭内サスペンス劇場か・・・などと思ってしまうわけだ。テレビドラマみたいなんですよね。
さすがに主人公・澄伽の「誰にも必要とされないまま死んでしまうかもしれない」存在意義を否定される恐怖に愕然とするラストシーンは迫力がありました。きっと誰もが感じたことのある不安であり、恐怖。それとどう折り合いをつけて生きていくかを描く物語のほうが、私は好みですな。
(2006.2.21記)
>追記
順調にご活躍、芥川賞候補の常連となりつつあります。すごいなあ。
しかしあいかわらず奇を衒った感じのタイトルになかなかなじめず、あんまりよく知らない。若いなあ、ってカンジ(笑)。