an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

『10年目のセンチメンタルな旅』荒木 経惟・荒木 陽子

10年目のセンチメンタルな旅

10年目のセンチメンタルな旅

旅・・・読むより自分で行くほうがいいに決まってます。・・・あえて読むことを選ぶなら、少なくとも興味深い人が書いたものか、視点おもしろく文章うまく読ませるもの。(最近はイラストがいいのも可)本書はそのどちらも満たしてくれました。

フランス〜スペイン〜アルゼンチンの旅を陽子さんが綴ったもので、ダンナの写真もふんだんに掲載されており、気持ちよく異国の空気を感じさせてくれます。
このご夫妻のこと、しかもおフランスということで、さぞかし「アムール」で「ジュテーム」な旅行記かと思いきやさにあらず、どちらかと言えばおトボケ珍道中なかんじです。アラーキーがお約束どおりお姉ちゃんを口説きにかかったり、二人して汽車に乗り間違えてボーゼンとしたり。楽しいアクシデント続出です。
しかし、もちろんこの夫婦がただのおトボケのはずがない。陽子さんは何気ない日常の中にスッと落とす目線がけっこう鋭いし、写真にはスペインの光と影。味わい深いです。ウマそうなものもいっぱいでてくるし。
ま、夫婦にしろ友人にしろ楽しく旅できる相棒ってのは最高の存在であるな、と。
(2006.1.24記)


>追記
荒木さんは「愛しのチロ」も近年亡くされ、写真集などは見るからにつらいです。
こちらも大好きな一冊。

愛情生活

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