- 作者: 田中小実昌
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/01
- メディア: 文庫
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たたずまいはほのぼのだが、「僕は哲学的なことしか興味がない」と言いきるように、無頼の徒にして考える人なのであります。
本書はそんなコミさんのお父さんのことを書いた「長編小説」であり、「鎮魂歌」であるそうだが、(←解説による)はっきり言って小説としては破綻している。思いつくまま、断片的に父の軌跡を記し、この時の父はこんなふうに思ったかも。・・・いや、違うかも・・・・という調子で同じことを繰り返したり、まるで酔っ払いである。
明治の時代にアメリカで洗礼を受け、帰国後は十字架のない、信者が奇声を発して祈るような教会の牧師であったのだから、その気になれば大変にドラマチックな伝記が出来上がったことだろう。だが、彼はそのような物語を語ることを拒否した。
そしてこういう。「宗教はココロの問題ではない」「十字架がせまってくる」「アーメンがぶちあたってくる」と。信仰は持つものでなく、受けるもの。・・・難しい。簡単な言葉なのだが読めば読むほどわからない。だが、なにか大事なことを教えてくれているような・・・と、何度読んでもはがゆい思いをさせられる一冊だ。きっとまた読み返すだろう。
・・・そ、それにしても文庫で¥1200て!!
(2006.1.25記)
>追記
相変わらずつかみどころのない人なんです。
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