an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

若冲ワンダーランド

前回の「読書の秋」に続き、今回は「芸術の秋」としゃれこんでみました。 よろしければお付き合いください。

本や映画に比べると全然まったく、と言っていいほど絵のことはわからないし、好みも非常に限定されるのだが、美術館が好きでチェックは欠かさない。(チェックだけして行かないこと多々だが・・・)子供の頃、うちはナゼか成人の日に家族そろって「日展」を見に行くという習慣があって、平安神宮に集う振袖姿のきれいなおねえさんと、大きな絵を見るのが楽しみだった。「絵ってきれいだし、見ていて楽しい」という記憶がシッカリうえつけられている上、絵を描くことがあまりにも下手だったので、なんかこう、「美しき偉業を仰ぎ見る心地よさ」みたいなものに満ちているのだ、美術館は。

実は一発目に京都伊勢丹内・美術館「えき」で催された「ラウル・デュフィ展」に行くつもりであったのが、ハタと気付くと今月の4日で終ってしまっていた・・・あららら。
こういう百貨店内の美術館って万人向けの無難な企画が多くて(エジプトの秘宝とかアンティーク・ジュエリーとか超メジャーな絵本作家とか・・・あとシャガールとエミール・ガレばっかりやるのも謎。展即でお買い上げ率が高いとか?まさかね。)ああつまんねえ、と常々思っていた中、初めて「おっ」と思ったものだっただけに残念だ。デュフィの音楽的な躍動感あふれる絵、一度は見てみたいもの。
・・・おっ、11月の「円空・木喰展」はちょっといいかもー。

で、今回ご紹介するはMIHOミュージアム
MIHOミュージアムは、滋賀県信楽山中にある瀟洒な美術館だ。凝った建造物と豊かな自然環境で有名で、館長はミスター“奇想の系譜”辻惟雄氏。春は見事な桜並木が楽しめるということで、遠路はるばる訪れる人も多いとか。いつぞやの日記に書いた「年末恒例行事・狸まみれのお墓参り」の近隣に位置し、「いつか行かねばなるまい」と、絶えず気になる存在ではあった。

     
      


現在、秋の特別展「若冲ワンダーランド」絶賛開催中。
・・・紅葉には少し早いけれど、思い立ったが吉日なのだった。

     


伊藤若冲については説明は不要だろう。緻密にして絢爛なその絵の人気は近年でも衰えることなく、頻繁に展覧会が催されている。

若冲と言えばゴージャスな鶏さまや、華麗な花々などがまず思い浮かぶところですが・・・

                            

墨でさらさらと描いたユーモラスな絵もたくさんあって、今回の企画ではそういうものを中心に展示されていた。まさしくワンダーランド!・・・みなさん、イイ顔してますよ。

                        
 
初公開の目玉作品「象と鯨図屏風」のゾウ(↑ポスターのゾウです)もよく見るとおかしな顔をしていて(日本的じゃないですよねえ)、
この人、生きてる時にはそうとう変人扱いされたんじゃないかな・・・
だって、こんな絵・・・↓↓・・・カラフルでポップで、これを江戸時代の人間が描いたとは。


     
 

イマジネーション豊かで、時代をひょいっと飛び越えることができるほどのデザイン感覚にも秀でた人だったんだなあと実物を見て改めて思った次第。
ちょっと遠いですが(いや、かなり遠い)、興味のある方はぜひ。

(2009年10月13日記)