吉行淳之介って今でもちょっとくらいは読まれているのでしょうか。
実は私、恥ずかしながら小説は一つも読んだことがないのですが、恐怖対談シリーズや宮城まり子の『淳之介さんのこと』なんかは楽しく読んだ覚えがあって、つまり、作家その人がどんな人だったのかに興味があるのです。・・・というのも。
・・・よく知られているように、そのモテモテぶりは文壇の伝説となっていて、電話での話しぶりを聞くだけでクラッとなるほどであったとか、男でさえもその色気にドキッとした、なんて逸話をあちこちで読んでおりました。・・・今までの人生でそのような男性に一度も出会ったことがない私としては、「未知との遭遇」的な興味をかきたてられるわけです。
写真を見るかぎりではいわゆる「美男子」「イケメン」とは思えない。
しかし淀川長治に「桔梗かるかや女郎花、みたいな感じのお方」(←すばらしい褒め言葉ですね)と言わせるような雰囲気を全身に纏い、聞き上手の話し上手・・・とくればこれはもうモテないはずがないわな。
・・・なのにこの『やわらかい話』では。
(ま、対談相手が金子光晴なので、これくらいのセリフはかわいいくらい)
開高健、山口瞳、寺山修司、丸谷才一・・・などの曲者(めずらしいところでは日本画家の加山又造)との文字通り「やわらかい話」対談。田村隆一はたぶん・・・飲んでます。
けっこう笑えるので(忍び笑いから呵呵大笑まで幅広く)おすすめです。
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◆岡田芳郎著『世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか』
天下の映画通に「世界一」と言わしめた映画館を、天下の食通に「日本一」と言わしめたフランス料理店を、酒田に作った男の物語(←タイトルそのままや)。サービス業の面白さと厳しさを魅力たっぷりに、ドラマティックに描くノンフィクションです。感情移入しやすい語りなのであっという間に読了。
・・・本当に、世の中いろんな人間がおるな〜・・・というのは陳腐な表現なれど、放心しつつそういう気持ちに浸るのは、読書の醍醐味のひとつと言えましょう。
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4月12日心斎橋クアトロ、念願のムーンライダーズのライブに行ってまいりましたっ。
おおおお。けけけ慶一さんが至近距離にっっ!!
その日のライブは、衣装のどこかに赤を入れることになっていたようだ。ユニオンジャックをあしらったジャケットやスキニーなジーンズでそれぞれキメているメンバーたちの中、慶一さん、そのカッコはなんですか一体。
大きな柄の入った(まさかアップリケじゃあるまいな・・)Vネックの真っ赤なニット、微妙な丈のショートパンツにスニーカー。おまけに前髪をストレートでどばっとおろしているので、ちょっとどうかしちゃってるオバちゃんがこれから遠足行きまーす、みたいなんですけど・・・。
ちなみに名古屋では「まるで寝起き」スタイルだったらしく、こうなると東京ではどんなだったか大変気になるところ。
・・・それにしてもメンバーのほとんどが白髪だったりするおじさんバンドなのに、どうでしょこの音の大きさ!(今回はドラムが2人おりますね)
・・・そして時折チラリと見せる弱い男の愛すべきバカっぷりと愛嬌、これがこのバンドの大きな魅力であることを再確認いたしました。聴いているとついつい笑顔になってしまう。音楽ってたいしたもんだな〜。
夢の数だけなら 負けはしない
キズの数をかぞえたら 十万億
名曲「BEATITUDE」は思わず飛び跳ねたくなるようなアップテンポの曲なのですが、生で聴いたら何故だかナミダが出そうになりました。・・・鬼の目にも涙(笑)。
(2009年4月24日記)