an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

小ネタ

思わず吹き出してしまった本のタイトル三つ。
すべて未読です。

中島義道著『人生に生きる価値はない
人生に生きる価値はない(かもしれない)、だけど・・・という内容であるだろうことや、人目を引くために勝負に出た出版社の潔さ・・・等々を考慮した上でもひどいタイトルだな、これ。

杉本彩著『インテリジェント・セックス』 
吹き出したのは帯の推薦文が佐藤優だったから。
インテリジェントなら幅広く俺に任せろってことか。確かに『国家の罠』は面白かったし、ラジオでは軽妙トークもこなす超売れっ子の才人だが、なんかもう口八丁手八丁な感じで早くも食傷気味。

◆『柳美里不幸全記録
・・・・・・くわばらくわばら。


▲▼▲▼▲

人は 死ぬからえらい
どの人も 死ぬからえらい

わたしは生きているので
これまでに 死んだ人たちを たたえる

鶴見俊輔著『悼詞』。序文の一部である。
深い交流があった人、特別な思い入れがある人、すれ違いではあったが忘れがたい人たちへ書かれた追悼文を集めたもの。50年にわたって書かれた125人の中には、名前も知らない人が多いが(「思想の科学」知らんしなあ・・)、志賀直哉寺山修司中井英夫松田道雄赤尾敏・・・といった「へえ」と思う意外な顔ぶれも登場する。
故人の持っていた、「世間一般の評価や印象とはちょっと違った何か」をごく個人的なエピソードをもって語られたものが私は好きで、そういうものを読むと未知の人物が立体的に、体温を持ったようにより近しく感じられるのだ。そうして大切な人をひとりひとり紹介してくれているような、鶴見さん独特の平易で優しい文章を楽しんでいる。

「・・・ただの人間スケッチの断片と違うところを強いていえば、痛切(切実)がモチーフになっているということだ」と記される吉本隆明著『追悼私記』は、もう少し厳粛な空気をまとっていて、思わず襟を正すような気持ちになる本で、今でも時々読み返している。こちらは文庫になっているようなので、興味のある方はぜひ。

(2009年3月26日記)