- 作者: 土門拳,土門たみ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1998/12
- メディア: 大型本
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
解説の一人である山藤章二が、昔の日本人は(モデルになっているのは大半が明治生まれ)「圧倒的に顔がいいのである。絵になるのである。」と書いているが、本当、実にいい面構えの男たちである。
自分で直したヘンテコな眼鏡をかけた志賀潔(細菌学者)、バーの止まり木で背を丸めて座る吉田健一(英文学者)、一心不乱に彫る棟方志功(版画家)、麦藁帽にパイプを持つ熊谷守一(画家)、火鉢のそばでくつろぐ古今亭志ん生(五代目)、珍しく禅僧のように厳しい顔した谷崎潤一郎、そして川端康成!・・・その眼は、何を見てる?
一体どんな人生をおくったらこんな風貌ができあがるのだろうか。しわの一本一本に刻まれた時と、作り上げてきたものに思いをはせる。
「うん、やっぱり人生は生きるに値する」というような気分になりましたよ、私は。
ちなみに画面に出ているのはケースの表写真、作家の高見順であるが、本表紙は志賀直哉、裏が升田幸三。本書の中でも抜群の一品である。
(2006.6.10記)
>追記
人物を撮った写真集にはひかれます。
高くて買えないけど、こちらなど。