an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

読書の夏

もちろん内田百輭の話をしているのである。

そう、破局を宙吊りにしたままどこまでも遅延させている気分、いまかいまかと怯えながら、しかし来るべきものがいつまでも出現しないために気配のみが極度に濃密に尖鋭化してしまった世界気分、そういうものが百輭の根本的な気分といえるのではあるまいか。

                          種村季弘

冥途・旅順入城式 (岩波文庫)

冥途・旅順入城式 (岩波文庫)

・・・夏に読みたい、小粋な怪談。