an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

『美と共同体と東大闘争』三島由紀夫・東大全共闘

美と共同体と東大闘争 (角川文庫)

美と共同体と東大闘争 (角川文庫)

かつての大学生は権力に向かって礫を投げる荒くれ者であったらしい。
そんな怒れる若造と三島由紀夫とのガチンコ対決。・・・ちょっと興味がわきませんか。
私は三島由紀夫の熱心な読者ではないけれど、その作品と言動、風貌から死に様にいたるまで、底知れぬ恐るべき人物と認識しており、今日びの自称文化人やうるさ型評論家などが口論を挑んでも全然敵わないんじゃないかと思っているのだ。
であるから、たとえお利口な東大生といえども、税金も払っていない尻の青い学生どもとの討論の展開など推して知るべし。
・・・などと思っていたらですよ、これがもう難しくて全然わからないの。基礎知識が足りなさすぎた。何だか悔しい(笑)。
しかし、そんなわけのわからない論議の中でも三島由紀夫のしゃべりだけは、すべてとはいえないものの、具体的でクリアーでわかりやすいのだ。そしてかっこいい。(「私は安心している人間が嫌いだ」なんていう言葉にはしびれました)
学生たちはその反対だ。三島由紀夫の発言、そして鬼気迫るあとがき(『討論を終えて』)だけでもこの本は読む価値があると思う。
言葉の力を信じ、他者と何かしら共有したいという溢れるエネルギー、こんな時代もあった。灰皿は床。教室のガラス窓を叩き割って場外で立小便。この野蛮な、嗚呼60年代。
(2006.11.3記)


>追記
少しは勉強しまして、この本もわかるところが多くなってきました。
しかし・・・学生どもの言ってることはやっぱりわからん(笑)。