an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

『編集狂時代』松田哲夫

 ≪編集する人びと・その二≫

筑摩書房の偉い人です(笑)。前述の安原さんとは全くタイプが違ってこちらはソフト。雑誌のモデルになるくらいの洒落者でもあります。
松田さんの編集者人生は、その時々のイキのいい人をかぎつけるのがうまく、またそういう人が自然に集まっちゃって楽しく遊んでたらそれが仕事に・・・というノリで始まっています。『ガロ』の面々(奇人ぞろい!)との交流、赤瀬川原平南伸坊藤森照信らとの「路上観察学会」の活動など、いつも本人が一番楽しそうです。でも、好きなこと、興味あることには尋常でないほどの「凝り性」の面をのぞかせ、なるほど「編集狂」であるわいと深く納得したりするわけです。
天下の遅筆・井上ひさしや超曲者・野坂昭如ら作家との〆切をめぐる攻防や、精根こめた雑誌がすぐ廃刊になったり、会社が倒産したり(!)修羅場をくぐっているはずなのに、なんとなく飄々とした雰囲気が漂うのは、やはりお人柄なのでしょう。

個人的には、60〜70年代の赤瀬川さんが思いのほかアグレッシヴなアーティストであったこと、著者と安野光雅氏との意外な関係が発見でした。
「ええな〜、こんな面白そうな仕事、オイラもやってみてえ〜」という感想をお持ちになると思います。若者よ、編集者を目指せ! 
(2006.2.24記)


>追記
松田さんは人気TV番組で、本の紹介などされていたようですが・・・
私とは好みが甚だしく異なることが判明、まあしかし、好みは人それぞれですからね。