an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

『仙人の壺』南伸坊

仙人の壺

仙人の壺

中国のお話というとまず『三国志』とか『水滸伝』とか『西遊記』とか、とかく長大な物語がまず思い浮かびますが、ここでは南伸坊のセレクトによる中国のちょっと奇妙な小話集をご紹介しましょう。
だいたいにおいて中国の方というのは奇想天外・摩訶不思議といったテイストがお好きのようですが、それを逐一説明したり、思いを縷々述べたり、つじつまをあわせたりする親切心を持ち合わせていません。
日本の昔話が教訓めいていたり、「なるほど・・・」なんて思わせてくれたり、時にはナミダを誘ったりするのと違い、「なんじゃそら」っていう話ばっかり。

一品紹介してみます。
「ある人が外に出てみると、柳の木の上で男が露を舐めていた。その男は目が合った途端、ぎょっとした顔をしてそのまま姿が見えなくなったんだってさ。おわり!!」
 ・・・はい?なんですか、それは・・・?

しかし、このそっけなさが逆にこちらのイマジネーションをかきたて、妙におもしろいことも確か。伸坊さんのシンプルだけど表情豊かなイラストが味わい深く、話をより魅惑的なものにしています。ぜひこの世界、一度ご賞味ください。
(2006.1.19記)


>追記
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