an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

カズ・カレンダー

世の“きょうだい”がしばしばそうであるように、私と二つ下の妹は似ているところがあまりなく、女にしては低音の声以外は顔も性格も好みも特技もまるっきり違っていて、手先の不器用な私からすると途方もないような、複雑で細かそうなグラフィック系の作業をPC上で行うことを生業にしているのだが、ある時、「カズのカレンダーのデザインを担当することになった」という。
ああ、サッカー選手の三浦和良ね、と気づくのに数秒を要した。
なんでも、会社側の一番希望は石川遼君だったそうだが諸事情により断念、だが二番手のカズでも契約が決まった時は担当営業にやんやの喝采が送られ、その売行きに「社運を賭ける」的な、ただならぬ意気込みを感じるのだそうである。故にその仕事は少々気が重い、と。
ちょっとまて。
「カズって誰だっけ?」→「まだサッカーやってんの?」→「カズ・カレンダー?いらね。」・・・ というのがおおよそ一般的な反応ではないのか。世間の趨勢からいっても作るべきは遼くんカレンダーであり、なでしこカレンダーである。カズをゲットして手放しで大喜びなどとは、プロの商売人としていかがなものか・・・と控えめに申し上げたところ、妹は「いや、そうともいえない。カズは同世代にすごく人気がある。アラフォーの星やしな。」と涼しい顔で返してきた。
・・・な、なるほど。同世代をターゲットにしているのか。 

「同世代」という存在は、何年も会っていない同級生でも、ネット上での名も無き人でも、はたまた恐れ多い著名人でもなんとなく気にかかるもの。
ことに、「第一線でなくても、めったに勝てなくても、いくつになっても」がんばり続ける同世代人は、派手に活躍している人よりずっと近しく感じられる。思わぬ局面で、その姿がぐっと心に迫ることがある。
私が伊達公子に並々ならぬ思い入れを持っているのに通ずるものがあるわけだ。
「カズさん・・・オレも、オレもがんばるッスよ!」とカレンダーで一発気合を入れて今日も出勤(なにしろ“魂のメッセージ付き”だし!)、それもまたよし・・・と納得はしたものの、やっぱり私は「ありがたい幸之助はん語録付きカレンダー」のほうが売れると思うけどね。

半裸のカズがとっても暑苦しい日めくりカレンダー、PHP研究所から近日発売。

 
                    



(2011年9月29日記)