an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

鬼、踊る

買ったぞ。・・・何を?・・・デジタルカメラを。
それにしてもいつの間にこんなに小さくなったのだ、デジカメは。ジャスト、カードサイズ。スタイリッシュなその姿。突起物を最小限にしたシャンパンベージュのシンプルなボディは、まさしく機能美の極致。(・・・いや、もうそっとしておいてください(笑)。浮かれてるだけです)
こうなると、撮りたい。身近な人間やネコどもをバシバシ撮ってみるが、これがまた驚くほど美しく撮れる。いっぱしのカメラマン気分だ。
さあ、この腕前をさらに発揮できる被写体はどこだ。

・・・見つけました。
ゴールデン・ウィークに、毎年京都にやってくるこのお方。

     

舞踏家、大道芸人ギリヤーク尼ヶ崎さんは御歳もって77歳。
その芸はといいますと、哀調を帯びたパントマイム風のものあり、土着的前衛舞踏風のものあり、クライマックスに近づくにしたがって、じょんがら節にあわせて褌姿で髪を振り乱し、地にのたうちまわり、時には池にも飛び込むといった「鬼の踊り」と評されたとおりの鬼気迫るパフォーマンスをみせる。

     

・・・土方巽から大駱駝艦、白虎社、山海塾までひととおり観てますのよ、なんていう通人ならいざ知らず、初めて観た人は、まあちょっと、ぎょっとするかもしれません。

     

     

通りすがりの小奇麗なカップルが、「意味、わかんな〜い」とか言いながら立ち去って行ったりしてましたし(苦笑)。・・・未知なもの、異質なものは「わかんない」でシャットアウトかいな。若い人がそんなことではナンギやねえ・・・と思いっきり関西のオバちゃん口調であきれてみたが、もちろん口にも顔にも出さず。
・・・ううむ。いっぱしのカメラマンだったはずだが(笑)、動きを捉えるのが難しい。躍動感を出すのはとっととあきらめて、その表情を追いました。いい顔、してますよね。

77歳とはとても思えない運動量と身体のキレだが、そろそろ「命懸け」というムードが漂ってきたようである。ここ最近は「鎮魂と祈り」をテーマに掲げているとのこと、あなたならば、その悲壮とも思えるテーマを扱うに不足はない。

      

「ここで踊ってる最中に死んだら本望やろうな〜」と言い合って投げ銭奮発。
・・・投げ銭で食うこと40年。こんな人生もある。

(2008年5月10日記)