- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2005/03/25
- メディア: 単行本
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脱帽だ。こんなものを書くには気が遠くなるほどの取材と資料の読込みを強いられたことだろう。少しは痩せたか。それとも幻冬舎の子分をだいぶパシらせたか(笑)。
あっという間に絶望的状況に陥る様は、お前らは救いがたい阿呆だと言われ続けているような気分になるし、凄惨な殺戮シーンが即物的な表現でたたみかけるように繰り返され、無力感に打ちひしがれる。もう読んでる間ずっと眉間にシワよりっぱなし。
しかしですね、それでもこの小説の展開に強くひきつけられるのは、圧倒的な暴力をまえにして生き抜くためには、恐怖と不安を自分自身の中でしっかり見据えて何をすべきか考え、行動することだ。そして、他人とのつながりとか、共有する何かを信じる想像力と強い意志が必要なのだ!ということを感じさせるからだと思うのだ。それは勇気や元気を与えてくれるようなものではなく、胸ぐらつかんで「どうする?お前、どうするよ!?」と言われているような乱暴なものではあるのだが。
今時の20代、30代ってやたら忙しそうな人ばっかりだし、実際そうなんだろうけど、貴重な週末の休みを全部つぶしても、読む価値があると私は思います。
蛇足ですが、登場人物中の脇役たちの中で・・・
高麗遠征軍にビビりまくって子供のように泣いた福岡県知事には武部幹事長が、マヌケな朝日新聞記者にはタイゾー君が、気骨ある老医師には天本英世が、気狂い少年たちのカリスマ、イシハラにはボーダーシャツ(ショッキングピンクあたりがいいね)の楳図かずおがビジュアルイメージにぴったりはまって爽快感を得ました。どんなもんでしょう。
(2006.2.11記)
>追記
ええと、ここ最近はすっかり経済評論家っぽい龍さん。
またヘヴィな小説、お願いしますよひとつ。
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