- 作者: 伊藤比呂美
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
しかしながら『日本霊異記』。日本史の授業で見たような見なかったような・・・。家に岩波の文学大系があったので(←何故ある!?)チラッと見たところ、前世でこれこれこーゆーことをしたがために、こんな因果なことになっておるのだよ・・・というような、ま、抹香くさい話なわけですよ。そんなエロスの対極にあるような日本最古の仏教説話集を、これほど大胆にエロい小説に仕上げた詩人の妄想力に乾杯(笑)。いや、ホントに感心しました。
山は深く、崖は険しく、海は広くて大きく、月はのぼり、日はしずみ、人は獣と交わり、死者と正者が、海から陸へ、陸から海へ、縦横無尽に行き交いめぐるところであります。
薄暗く雨でじとじとしたところで死んだ者がふいに現れ、女は肉団子を産み落とし、天女は人間を誘惑し、蛇は少女を襲う・・・静かな語り口調ながら、混沌が臭気を放っている感じがします。かなりユニーク、一読の価値ありと私はみましたが、いかがでしょうか。
(2006.6.25記)
>追記
子育てドタバタおもしろエッセイを書いていたのも今は昔。
ここ最近はもっぱら「老いと死」に関心が向いていらっしゃるご様子です。
これなどもすごかった。
- 作者: 伊藤比呂美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/06/12
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 56回
- この商品を含むブログ (56件) を見る