青木繁展に行く。平日に訪れたのだが、なかなかの盛況ぶり。
「海の幸」は小さかった。想像していたサイズの半分くらい。
「とてもでっかい絵」を想像させる、何か不思議な力がこの絵にはある。
せっかくなので間近で眺めてみたのだが、見れば見るほど、そして他の大作と並べられて尚いっそう、「未完成」感が強まるような作品だった。
生き急いでいるような切迫感と、志半ばにして力尽きたという無念ぶりが筆遣いにあらわれているようでやはり心に迫るものがあり、「伝説の画家」というやや大仰なフレーズに説得力を持たせているように思う。
「画家である夫のモデルとなり、自身も絵を描き、その夫に若くして死なれた美貌の(内縁の)妻」というとまず思い浮かぶのがA・モディリアーニの妻、ジャンヌ・エビュテルヌ。
お二人とも、意志の強そうな視線が印象的だ。しかし即座に夫の後を追ったジャンヌとは違って、福田たねさんは青木の死後、長くしあわせな家庭生活をおくられたようである。・・・時々は、こんな絵を描いた男のことを思い出したりしたかな。
なにしろ早く死んじゃった人だから、作品数も少なかろう思っていたが(そして確かに少なかったのだが)、素描や書簡、紙の端にちょこっと書かれた落書きのようなものまで展示されており、それぞれなかなか興味深かった。(友人に手紙でさかんに金を無心していたり)
で、こんな絵はがきを購入。山に登って疲れた三人(笑)。
(2011年6月16日記)