an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

とまらない生活2008

観てきました、イッセー尾形。題して「とまらない生活2008in栗東
イッセーさんの1人芝居は、関西ならば大阪の近鉄劇場で1週間とか、わりと頻繁にやられているのですが、なにしろ全然チケットが取れない。えらい人気なんやな〜と思いつつ、サスガにもう店頭販売当日に朝から並ぶなどということもできず(昔はやってましたけどね・・・寄る年波・・・)、なんとなく観れないまま過ごしてきました。
で、たまたまA・ソクーロフ監督の『太陽』を観ましたら。
映画自体は、まあまあかな・・・といったふうでしたが、昭和天皇を演じたイッセー尾形が、そりゃもう抜群に上手かった。驚きました。
勢いづいたところへ、公演会場はなんと「栗東」だ。こ、これはチャンス到来!
・・・はい、難なくネット販売一発目で5列目をゲットいたしました。
関西方面の皆様、大阪のリベンジは滋賀県で。今、滋賀県が熱い。

・・・実はそのパフォーマンスをよく知りませんでした。
わりにシニカルな感じのコメディを斜に構えたカンジで演るのかな、と。
ほら、あの人、一見伏し目がちでぼそぼそしゃべるようなタイプだし。
・・・全然違った(笑)。声、でかい。身振りも、でかい。
最初にフッとライトに照らされた時の、婆さんのコスチュームで、空を凝視しつつチェシャ猫のごとき笑みを浮かべる彼を見て、「これは・・・いける!」と思いましたね。
笑いもブラックでもシニカルでもなく、拍子抜けするほどストレート。
いるよいるよこんなバカ(笑)。愛すべきバカ。
(・・・ああ見えてものすごく人を見てるね、この人は)
演技に絶妙な緩急と間合いがあって、快適なリズムをつくるのが、ホントうまい。
見てて肩が凝らなくて、気持ちよく笑えるんですよね。
・・・でね、舞台の端に大きな姿見が置いてあって、演目が終わるとそこで次の衣装に着替えるわけ。カツラもメイクも、客の前で。
それが妙に険しい(あ、いや神妙な)顔つきで、半裸になって、カツラかぶったりメイクしたり。その間BGMはなんかノーテンキな感じの昭和ムード歌謡。
これ、けっこうシュールでした(笑)。

終了後の挨拶では、ぼそぼそしゃべる朴訥なおじさんになっていました。すごい落差やなー。22日は56歳のお誕生日ということで、皆でハッピー・バースデーを歌いましたら、 顔をくしゃくしゃにして笑ってました。うう、なんとチャーミングな人なんだ。
・・・あ、いかん・・・惚れたかも・・・

太陽 [DVD]

太陽 [DVD]

(2008年2月27日記)