an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

『赤瀬川原平の名画探検 フェルメールの眼』

赤瀬川原平の名画探険 フェルメ?ルの眼

赤瀬川原平の名画探険 フェルメ?ルの眼

科学的でありながら神秘的。暖かいのに冷静、穏やかなのに研ぎすまされている。・・・二律背反の妙な感触・・・こう評されるのは“カメラが出来る前の写真家”フェルメール、評するは赤瀬川原平。・・・ときたら、これは読まないわけにはいかない。
あふれる静謐感、陰影に富んだ画面・・・フェルメールの絵は中世の人びとの生活や息遣いを感じさせる大変魅力的なものであるけれども、なんとなく違和感を感じるような、不思議な絵が多いような気がしませんか。ごく私的な行為、いわゆる“絵になる場面”じゃない瞬間を描いていたり、なんでその方向から描くの、っていう構図だったり。そういう素人の素朴な疑問に赤瀬川さんがそっと教えてくれたりするわけです。

フェルメールは人間が物を見ることに相当関心があったのだろう。ほとんど物理的な関心である。(中略)愛や身分によって視線の強さや屈折度が変わる、そういう視線そのものの振舞いをとらえることがフェルメールの興味なんだ。

・・・本物が見たいです。
フェルメールは無機的なレンズを通した映像、カメラオブスキュラをのぞきながら、透明な神の位置にいることを感じたはずだ。」・・・全作品計36点を赤瀬川さんが愛と好奇心を持って案内します。時空を越えた、絵の中の奇跡を堪能してください。
  ・・・そういえば映画『真珠の耳飾りの少女』も見事な出来栄えでした。ぜひ!
(2006.8.14記)


>追記
『牛乳を注ぐ女』見ました!
こちらもどうぞ。

赤瀬川原平の名画読本―鑑賞のポイントはどこか (知恵の森文庫)

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フェルメール全点踏破の旅 (集英社新書ヴィジュアル版)

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