an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

本日読了

 

「謎の英国作家サーバンによる戦慄の幻想譚」「独特のエロティシズムと精緻な文章で綴られた、徹底した被支配関係から生じる恍惚と恐怖」などと煽られて読まずにいられようか・・・いやいられない。・・・というわけで昨年から2年がかりで読了しました、二編。

訳文がスマートで思ったより読みやすく、楽しめた。

うーん、確かにややマゾヒズムっぽい仄めかしは随所に感じるところですが、そこは英国風、モロ出しではないのだった。インテリ臭強め。

“サーバン”なんて筆名がすでにあやしくて、つい作品より書いた本人のほうに興味がわきます。外交官という固いお仕事に就きながらこんな物語を紡ぐ人・・・

どちらも幻想風味強くて、それが英国の、乾燥と曇天と低温と荒野に交じり合って他では味わえない風味を醸しています。謎めいた人物、異教、多感な少年少女、森の中の古びた屋敷と寄宿舎、幻想世界への入り口となる庭・・・そういった萩尾望都的世界がお好きな方にはたまらんと思います。