an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

『河童のスケッチブック』妹尾河童

河童のスケッチブック

河童のスケッチブック

この人にとっては日常生活の雑物も宝の山。子供がそのまま大きくなったような人、なんてのは芸の無い表現ですが、他に言いようがないな。
なにしろ売り言葉に買い言葉でライター飲みこむような人ですからね(笑)。
“河童が覗いた”シリーズがきっと一番人気があるのでしょうが、モノにまつわるちょっと気の利いた短いエピソードを集めた本書が私はお気に入りだ。特にフィレンツェでの革手袋の話や、故・向田邦子にもらった土鍋の話、輸入図書のセールスマンの話など、短編小説にでもなりそう。
もちろん自慢の細密イラストも見事、大福もチーズもピェンローボローニャの駅弁もめっちゃウマそうです。
絵描きの眼と好奇心ってのはすごいなぁ、それにしてもすごい凝り性だし頑固だし無茶するし、まさにいつも「あれはなに?あれは?」「こっち行く!こっち!」なんて言って周りを困らせるお子ちゃまそのものであります。大人が見つけられないものを見つけ出し、思いもよらないことを考えます。その勢いにのって周りをちょっと見渡してみるのもいいかもしれません。 
(2006.3.30記)


>追記
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