フッ・・・今どきガルシア=マルケスを読む中高年一般人なんているのかしら。ふらりと寄った書店での不意打ちの出会い。
日本の裏側南米コロンビア出身の堂々たるノーベル文学賞作家。私とは共有するものがすがすがしいほどなにもない。しかしタイトルと書き出しがほとんど詩のように魅惑的に思えた。思わず続きが読みたくなる。
大きな翼のある、ひどく年取った男
失われた時の海
この世でいちばん美しい水死体
愛の彼方の変わることなき死
幽霊船の最後の航海
奇跡の行商人、善人のブラカマン
無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語
(『百年の孤独』も入れるとなんだか大江健三郎っぽいな・・・)
海から、砂漠から、バラの香りの風にのって異形のものがやってくる。あるいは自らが海へ、砂漠へ向かう。平穏な日常生活に唐突な感じで悪夢的アクシデントが出現するのだが、登場人物たちはわりに平然とそれを受け止め、始終銭金の下世話な算段をしている。「はい?」と戸惑う奇妙な感触の物語ばかりだった。
全然感情移入できない。これがラテンアメリカの感性、マジック・リアリズムなのか!(←違うと思う
奇妙で残酷で派手で一気にまくし立てるような短編の数々、ラテンアメリカの濃い風を感じたことでした。