an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

90歳の哲学ー『ラッキー』を観る

人はみな、老いると哲学者になるのかも・・・・・・とじわじわ感じた一作でした。

(とは言っても70代くらいではだめです。そうさな、少なくとも90オーバーで)

仏頂面でタバコをくわえ、Fワード交じりの憎まれ口をたたく爺さんが主人公。

ハリー・ディーン・スタントン、映画好きの方ならばピンとくるこの名前。

そう、みんな大好き『パリ、テキサス』のこのおじさんです。

(フシギな切なさがある映画でしたねー、これ)

 

歳を取って頬がこけ、まるで死神みたいな風貌のラッキー爺さんは毎日毎日同じ朝食を摂り、ダイナーでクロスワードを解き、ブラッディマリーを飲みながら昔なじみの仲間に(デビッド・リンチ!!)毒舌を吐く・・・・・・しかし時には自身にも周りにも突発的なことが起こり、気持ちは揺れ、悔恨の苦みを感じるお年頃なのだった。

なにもかも「無」だ。そう結論を下すラッキー爺さん。「じゃあどうする?」と問われたその答えが秀逸だった。私はすごく好きだな。

地味ではありますが、たくさんの人に観てほしい一作です。