an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

本日読了

 

ふふっ、やっぱりおもしろかった。取り上げられている本が私の好みにドンピシャだし、時折あらわれる「~なんだなァ」という言い回しがコミさんみたいでいい感じ。

80歳を目前にしたリアルな読書事情、元編集者ならではの着眼。とてもひびくものがありました(細かい字がびっしりの大長編を前にげんなり・・・とか、近年流行りの残酷描写強めミステリがしんどいとか・・・私も・・・)。

幼少期からの恐るべき読書量、本に対する静かな情熱、深い洞察力、何より楽しみ方が溢れる内容で、いや~楽しく読了しました。

私も興味津々の編集グループSURE鶴見俊輔の関係、露伴翁の読書事情(読み書き助手の方とのエピソードがたまらん)、メイ・サートンの孤独、蔵書処分の悲哀、伊藤比呂美小栗判官、そして須賀敦子の人生のターニングポイントに思いをはせる・・・著者の軽妙な語り口でたくさんのことを教えてもらった。

思いがけない場所で、ふいに、いままで知らなかった小さな事実にでくわす。そのことで、じぶんの人生を織りなす網の目が、ほんのすこし密度をます。そういうことが、あんがい、しばしば起きる。歳をとるというのも、まんざらわるいだけのことではないのだ。