an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

『ハウリング・ウルフ』登川誠仁

ハウリング・ウルフ

ハウリング・ウルフ

Amazon
登川誠仁。映画『ナビィの恋』のおじい役で一躍有名になった琉球民謡界の重鎮であります。今はなき梅田のバナナホールでのライブに行ったことがありますが、とても小さくてお茶目なお爺さんです(重鎮なのに)。スキあらば下ネタを連発するのですが、なにしろ早口のキョーレツなうちなーぐち(方言)、とっさに理解できず客のリアクションに微妙な間があったな。

それはともかく、このアルバム。若年層も意識したか、オーソドックスな民謡を集めただけのものではなく、曲の間にてるりん(照屋林助)とのMCをはさんだり(もちろん翻訳付)、超デタラメなアメリカの歌(こちらは翻訳不可能)を歌ってみたり、まぁ〜楽しそうなこと。冒頭の曲が「軍歌たべたいなあ」、続くMCが「なんでも食べたいな」だって。

この世代の沖縄人、どうしたって戦争体験の苦しみを避けることはできません。3曲目の「戦後の嘆き」。そうか、この人は自分の苦しんだ経験をこういう形で表現できる人であるのか・・・と思うと少し目頭が熱くなります。
後半では有名な「ヒヤミカチ節」や「安里屋ユンタ」も。奏でるのは三線ではなく六線!そして見事な塩辛声ブルース!かわいくて、最高にかっこいいぞ、爺さん!

沖縄フリークでなくても充分に楽しめる作品だと思います。日本の宝のひとつである沖縄民謡と、遊びをたっぷり盛り込んだこのアルバム、ぜひ一度ご賞味を。
(2006.4.24記)


>追記
これも好きなアルバムです。いいですねえ、沖縄民謡。